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14日目日記
星辰は大空(たいくう)に孤煌(ここう)せる。
如何(いか)に天河が一つ流れに見えようと、
其れは別離せる無数の孤星を、
光が繋ぐ錯覚に過ぎぬ。

万星は大空に孤煌せる。
南天を見上げるが、
季節には未だ到らぬが故に、
探す星は終(つい)に無い。

秋の一つ星、
南の魚座の孤星。

アフロディテは逃散の折、
孤高の儘(まま)に、
何処まで銀河を遡った?
自らの女神たる本分を忘れたが故か。

南天の孤星に、
雲が懸る錯覚が消えぬ。
あの表情は?
あの問いは?
俺の気苦労に過ぎぬならば良いが。

鎖の冒険者達は、
少々自らの背に荷を負い過ぎる。
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【2007/08/17 06:57】 | 過去日記 | トラックバック(6) | コメント(1)
13日目日記
鎖を編み変える。
新たなる連環は新鮮なるも、
襲い来る相手は微弱。

歴戦の海狸(かいり)。
一対一で在れば行方(ゆくえ)は解らぬ。
が、如何(いか)に伝説に触れる戦士なれど、
孤高の身に在っては、
劣勢も必定(ひつじょう)。

誇りの故か、
海狸は牙を剥き、
川を守ろうとする。

此方(こちら)も弓を引く。

決戦宣言と解する。
彼の誇りは擲(なげう)たれた手袋である。
【2007/08/01 18:03】 | 過去日記 | トラックバック(5) | コメント(0)
12日目日記
鼠の群れと出会う。
窮鼠と呼ぶには聊(いささ)か緊迫に欠け、
そも鼠と呼ぶには巨大に過ぎる体躯。

が、其の目に宿る光は強暴にして、
歯には毒の気配。
悪疫を媒介する者の相貌(そうぼう)。

或いは俺達が踏み込んだのやも知れぬ。
彼等の平穏、安息に。
が、闘いを望むのならば、
応えよう。
今俺には弓が在り、
又、弓の他に終(つい)に語るを知らぬ。

決戦宣言と解する。
彼等の毒は擲(なげう)たれた手袋である。
【2007/07/24 19:38】 | 過去日記 | トラックバック(0) | コメント(0)
11日目日記
陽光の外に過ごす。
灼ける様に、
夏が照り付ける。

其の夏に必死を見るかに思うは、
漸次(ぜんじ)短くなる昼の故か。
何時もと同じ崖へ、
遠駆けし、
風光の内に海原(うなばら)を望む。

小さな拘(こだわ)りだと判る。
兵で在れば疾(と)うに幾人も殺害した。
戦場に、
或いは国家に背したあの夜に――。

海原を前にする内、
喉に刺さって居た棘は、
聊(いささ)か弛緩(しかん)した様だった。

水平線へ向けて、
墜ちるかに、
南天を過ぎた陽が傾いて居る。
刹那、
沖に何かが輝いたかに見えた。

訝(いぶか)しむが、
目を凝らせど何も見えぬ。

装甲を焼く熱に、
程無く踵(きびす)を返した。

熱い夏だった。
【2007/07/18 19:06】 | 過去日記 | トラックバック(0) | コメント(0)
10日目日記
道を違える。
兵を殺さぬを選んだは、
俺の道。
兵を殺めるを選んだは、
彼の道。
双道は並行を行かぬ限り、
交わらぬが必然。
此の不如意が、
独りで居た時分とは違う。
悪くは無い。
が、気が晴れるでも無い。

仲間を危険に曝すか否かを思えば、
殺すが必定。
俺が甘いのだ。
其れは判って居る、
だが――……。
【2007/07/11 19:19】 | 過去日記 | トラックバック(0) | コメント(0)
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桑弧蓬矢


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